賃貸住宅には契約期間が設けられており、定期的に賃貸契約の更新時期が訪れます。その際、契約期間の満了後も、更新して住み続けるかどうかを大家さん、もしくは不動産会社へ伝える必要があります。
賃貸契約の更新時は、更新料の支払いが発生することもありますが、そもそも更新料とはどのようなものでしょうか。
そこで本記事では、更新料の内容や支払い義務の有無などについて紹介します。更新料の値下げ交渉や分割払いが可能なのかについても解説しますので、ぜひご覧ください。
賃貸物件の更新料とは
更新料とは、賃貸物件の契約期間が満了し、契約を更新する際、大家さんに支払う費用です。たとえば、契約期間が2年の場合、2年が経過したタイミングで、賃貸契約を更新する際に更新料が発生します。
更新料を徴収するかどうかは、都道府県によって異なります。2007年に、厚生労働省が発表した「民間賃貸住宅に係る実態調査」では、更新料を徴収している割合は以下のとおりです。
神奈川県が約90%である一方、大阪府と兵庫県では0%と、差が顕著に表れる結果となりました。上記の結果から、必ずしも更新料の支払いがあるとは限りません。
更新料の内訳
賃貸借契約の更新時に支払う費用は、更新料や更新手数料、火災保険料などがあります。また、保証料が発生する場合もあります。 更新手数料は、契約の更新時に不動産会社へ支払う費用を指します。
更新手続きをする際、借主と大家さんが直接手続きを行うケースは少なく、不動産会社が仲介するケースが大半です。そのため、不動産会社への仲介手数料として支払いが発生します。
火災保険料は、賃貸契約と同時に加入した火災保険の費用です。不動産会社指定の保険会社へ加入することが多く、更新と同じタイミングで保険料を支払うこととなります。保証料は家賃保証会社を利用している場合、更新のタイミングで保証会社へ支払う費用です。
更新料の支払い時期
更新料の支払い時期は、大家さんや不動産会社から送られてくる通知書に記載されています。そのため、設定された期日までに支払う必要があります。
支払い期日は、大家さんや不動産会社によって異なるため、通知が届いたら早めの確認が必要です。更新料の支払いは口座振替が多いですが、支払い時は毎月の家賃を振り込んでいるときと同じ口座を使うようにしましょう。
期日までに支払いが厳しい場合、できるだけ早めに大家さんか不動産会社へ連絡し、期日の延長ができないか交渉をしましょう。
更新料の相場
更新料は法律で決められているわけではなく、大家さんや不動産会社が自由に決められます。更新料の相場は、家賃の1か月分としているケースが多く、高くても2か月分です。
国土交通省が発表した「令和元年度住宅市場動向調査報告書」に記載されている更新手数料の割合は「1か月ちょうど」が約7割と、最も多い結果となりました。 更新料は住んでいる地域によって異なるため、更新を考えている際は、自分が住んでいる物件がいくらに設定しているのか確認をしましょう。
更新料に支払い義務はある?
賃貸借契約を更新する際、更新料を支払うケースはありますが、そもそも更新料の支払い義務はあるのでしょうか。
ここでは、更新料の支払い義務が生じるケースや支払いに応じなかった場合に、起こりうることについて解説します。
契約書に記載があるかを確認
更新料の支払いは法律では義務付けられていません。しかし、賃貸借契約書に更新時の支払いに関する内容が記載されている場合は、更新料を支払う必要があります。更新料についての内容が明記されていない場合は、更新料の支払い義務は発生しません。
シェアハウスの場合、更新料の支払いがない物件も多く、通常の賃貸物件よりもお得に住めます。
契約書に記載があり、支払わない場合
更新料の支払い義務がありながらも支払いが遅れる、または支払わなかった場合は、以下の措置がとられる可能性があります。
●支払いが遅れた期間分の遅延利息の支払い
●アパートやマンションからの退去
賃貸借契約を結んだ場合、大家さんと借主側で取り決めたことを守る義務があります。更新料の支払いも取り決めの一部であり、支払いに応じなかった場合、大家さん側に契約解除の正当な理由ができることとなります。
大家さんから退去命令を出されたら、物件の引き渡しに応じなければなりません。そのため、賃貸借契約の更新をする意思がある場合は、期日までに支払いましょう。
賃貸契約の更新料に関するポイント
ここでは、賃貸契約の更新料について以下の4つのポイントを紹介します。 以下で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
更新料の交渉は可能か
賃貸借契約書に更新料に関する記載がなかった場合、支払い義務が生じないため、支払いをしなくてもよいか交渉できます。 また、更新料が発生する場合、更新料の値下げ交渉も可能です。しかし、更新料が高いという理由では、交渉に応じるかは難しいところがあります。
2011年に更新料に関する最高裁の判決では、1年ごとに賃料の2か月分に相当する更新料の支払いは適法との結果となりました。 また、大阪高裁においても、1年ごとに賃料の3.12か月分相当の更新料の支払いは適法である判決が下されました。
このことから、更新料の値下げ交渉はできたとしても、値下げに応じるかは難しいと言えるでしょう。
更新料の分割払いは可能か
更新料は原則として、一括で支払う必要があるため、分割払いは難しいです。しかし、以下のようなケースで、更新料の一括払いが難しくなった場合は、大家さんや不動産会社と交渉してみるとよいでしょう。
●突然のリストラによる収入の減少
●事故や病気による入院など想定外の事情による支出の増加
大家さんにとっても、更新料を滞納されるより、分割で支払ってもらった方が安心できる場合もあります。
更新時期が近づいたら更新料と引っ越しを比較検討する
更新時期が近づいてきたら、更新することだけを考えず、引っ越しも検討してみましょう。
更新時の費用と引っ越し費用を比較し、どちらがお得になるか考えます。 現在住んでいる物件よりも、更新料が安い物件への引っ越しで、長い目で見ると引っ越しがお得になる可能性もあります。
更新料不要の物件を探すのもよい方法
できるだけ支払いを抑えたい場合は、更新料が不要の物件を探してみましょう。しかし、更新料なしの物件を探す際の注意点として、条件がよくない物件に当たる可能性があります。
長期間入居者がいない物件の場合、大家さんが早く入居させたいがために、更新料を無料にしているケースもあるためです。更新料がかからないからとすぐに契約せず、一度内見をしたうえで、入居するかを決めましょう。 更新料が不要という点では、シェアハウスに住むという選択肢もあります。
賃貸の契約に比べると1回の契約期間が短い場合が多いので、多少、再契約時の手間は掛かるかもしれませんが、「更新料なし」としている物件であれば、長期滞在を希望する人も安心して暮らせます。
まとめ
本記事では、賃貸住宅の更新料の相場や支払い義務、更新料の分割払いなどについて解説しました。
更新料とは賃貸契約の契約期間が満了し、契約を更新する際に大家さん、もしくは不動産会社へ支払う費用を指します。 更新料は家賃の1〜2か月分が相場で、更新の通知書に記載されている期日までに支払わなければなりません。
更新料の支払いは必ずあるわけではなく、賃貸借契約書に更新料についての記載がなければ、支払わなくてもよいケースもあります。
更新料不要の物件に住みたい方は、シェアハウスもおすすめです。更新料や事務手数料が無料な物件も多いので、費用を抑えることができます。